【映画】小2男子には刺さらず!なぜ?「パパはわるものチャンピオン」は大人向け作品です
日本のプロレスを消滅の危機から救った新日本プロレスのエース・棚橋弘至主演の2018年9月21日公開映画「パパはわるものチャンピオン」を小2の息子とプロレスファン歴35年の私で観覧してきました。
棚橋弘至、オカダ・カズチカ、田口隆祐らをはじめとした新日本プロレスの人気レスラー陣と脇を固める木村佳乃、仲里依紗、大泉洋らベテラン俳優たちとのコラボは幅広い年齢層にも受け入れられそうな安心感を感じ、まさに親子で楽しむ映画として十分に期待していました。
観覧の目的
2点ありました。
・息子をプロレスファンにしたい
UWFの3派分裂、闘魂三銃士とプロレス四天王が台頭し始めた90年代前半、大学の友達数十人の仲間をプロレスファンにした私。
毎週のようにプロレス中継やレンタルビデオを肴に夜明けまでプロレスを語り明かしてました。
プロレスファンが好きなこと、それは「共感」することなのです。
ところが社会人となって以降、めっきりプロレスファンと遭遇する事もなくなり、必然的に「共感」する機会も無くなってしまいました。ひとりで楽しむプロレスほど寂しいものはないんですよね。
そこで僕は身近な人に的を絞り、積極的にプロレス布教をはじめたものの撃沈。彼女は僕の妻にはなってくれましたが、残念ながらプロレスファンにはなってもらえなかったのです。
そして久々に訪れたファン獲得のチャンス。
原作の絵本も読み聞かせた僕としては、何としても息子にプロレスを好きになってもらいたいのです。
・親子の絆を深めたい
頑張っている人はみな人生の主人公になれるんだと、この映画は教えてくれます。
この思いを息子と「共感」することで親子の絆を深めたい、僕はそう考えていました。
ところが…
映画館の真ん中に息子と陣取り、息子が大好きな「映画泥棒」を見ながら2人でクネクネとダンスを真似して、テンションが上がったところで本編開始。
棚橋演じるベテランレスラー大村孝志とその家族らの日常から物語は始まり、その後大村の仕事であるプロレスにフォーカスが移っていきます。
ここまでは息子もいつも通り、ストーリーにがっちり見入っていたのですが、徐々にプロレスのルールであったり生き様であったり過去の栄光との葛藤であったりと、大人になった今だからこそわかる要素が濃厚になるにつれ、息子は徐々に飽き始め、次第に脇見をするようになったのです。
再び子供が感情移入できる場面が増えることを祈りましたが、残念ながらそのような場面がほとんどないままクライマックスへ。
本編終了と同時に息子はサッサと席を立ち、疲れた顔をして映画館を後にしました。
原作とプロレス、対象年齢の違い
残念ながら小2の息子には途中から意味がわからない退屈な時間となり、僕の2つの目的はいずれも達成に至りませんでした。
理由は簡単で、小学校低学年ではプロレスとは何ぞや?を咀嚼したり理解するにはまだ早過ぎたのです。
プロレスは勝ち負けだけでは語れない特殊なジャンルで、常に勝負と同時に「生き様」がフォーカスされます。ベビーフェイスとヒール、ベテランの扱い、怪我と必殺技の関係、エースとは何ぞや、チャンピオンとは違うの?等々。
サムライTVで四六時中プロレスを観ている父を持ち、4歳から格闘技に取り組んでいる息子でも咀嚼に至らなかったのですから、普段プロレスにほとんど接点の無いお子様には、さらにハードルが高くなることは容易に想像がつきます。
一方で、この映画の原作である絵本「パパのしごとはわるものです」の対象年齢は3歳から小学校低学年です。
原作ではプロレスの「生き様」のところは深掘りせず、先述した頑張っている人はみな人生の主人公になれる、というメッセージを前面に出してわかりやすくなっています。
まとめ
絵本をそのまま映画化すれば子供も楽しめる映画だったのが、プロレスのエッセンスを盛り込み過ぎた結果、子供が感情移入するのが難しい作品になった、というのが私の印象です。
私自身は35年プロレスを見ていたせいか、学生プロレス出身でデビュー直後に本業以外で世間を騒がせ、その後もなかなか支持を得られず苦難の連続だった棚橋弘至が遂にここまで来たのか…という感慨深さが残りました。
また「生き様」に迷いがある人には、プロレスを知らなくても十分に刺さる要素がふんだんに盛り込まれていて、明日から頑張ろう、という気持ちにさせてくれる作品になっています。むしろ大人向けの作品ではないでしょうか。
親子で見る場合は、お子様は小学校高学年以上か、それ以下ならば既にプロレスファンであることを推奨したいです。